テフロン(フッ素樹脂)PTFE

PTFE(テフロン)とは

PTFEは、ポリテトラフルオロエチレンの名称の略語で、一般的には「テフロン」と呼ばれる樹脂材料です。フッ素元素を含むモノマーの重合体を「フッ素樹脂」と総称されます。PTFEはフッ素樹脂に分類され、炭素(C)をフッ素(F)が覆い尽くすような構造をしています。化学的な名前では「4フッ化エチレン樹脂」と言います。

PEFEの一般的な呼び名である「テフロン」は、アメリカのデュポン社が開発し命名したPTFEの商品名です。開発されたのは1946年で、PFAやFEPといった他のフッ素樹脂に先駆けて世にリリースされました。現在では、様々なメーカーがPTFEをリリースしており、各社独自の銘柄で販売されています。

PTFE(テフロン)の切削加工品サンプル

フッ素樹脂(PTFE)加工
材質:フッ素樹脂(PTFE)
寸法:30×30×17H

フッ素樹脂(PTFE)切削加工
材質:フッ素樹脂(PTFE)
寸法:40×70×30H

フッ素樹脂(PTFE)切削加工
材質:フッ素樹脂(PTFE)
寸法:76×122×32H

PTFE(テフロン)の切削の注意点

PTFEは、温度による体積変化が大きいため、加工時の室温管理や切削時に発生する熱に注意しなければなりません。寸法精度を要求される場合は、加工前の材料温度ならしを徹底するようにしましょう。

また、テフロンは弾性があるため、切削時にバリが発生しやすく、加工条件を形状に合わせて調整する必要があります。ドライでの加工の場合、冷却が足りず切り屑が溶着する場合もあります。できればクーラントを使用するか、エアブローでの冷却をしたほうがいいでしょう。

形状によってはどうしても大きなバリが発生する場合があります。そのような場合は、手作業でのバリ取り作業が必要になることもあります。

テフロン(フッ素樹脂)の特徴

■メリット
化学的安定性が高い
自己潤滑性が高い
耐熱性が高い
電気絶縁性が高い
難燃性が高い

■デメリット
流動性が悪い
加工コストが高い

PTFEは化学的安定性がとても優れています。これはPTFEの構造がフッ素が炭素を覆い隠すようになっていて、なおかつ結合の力が大きいからです。酸、アルカリ、有機溶剤のいずれに対しても最高レベルの耐性を発揮し、過酷な環境下でも侵される心配がありません。

摩擦係数も低く、自己潤滑性も高いという特徴もあります。加えて、非粘着性も高いため、こびりつきを防いだり、固着を防止したりする目的でPTFEはよく利用されます。

また、PTFEは耐熱性にも優れており、融点が327℃、最高連続使用温度260℃と高い水準です。このような特徴から、高温下で高い化学的安定性を求められる製品で利用されます。

しかしその一方で、PTFEは熱可塑性樹脂には分類されているものの、溶融時の粘度が高く、流動性が著しく悪いことから射出成形での加工ができない弱点があります。成形加工を行う場合は、粉末のPTFEを圧縮して加温する技術を使う必要があり、加工のコストが高く、加工できる企業も少ないという問題もあります。

PTFEは電気絶縁性と難燃性も高いので、電線関係の被覆材として利用すると、万が一災害などが発生して火事になったとしても燃えずに電気絶縁性を保ちます。さらに、溶融時の粘度低下もほとんどないので、融点を超える高い温度になっても電線を露出させる危険性が少なくなっています。

PTFE(テフロン)の利用用途

PTFEが利用される身近な例としては、フライパンや炊飯ジャーなどのコーティングとしてです。PTFEの高い耐熱性があるため、このような高温を伴う場所へのコーティングができます。

水道の蛇口のつなぎ目となるネジ山部分に用いられる白いシールテープも、PTFEが利用されています。柔軟性が非常に高く、適度に潰れるため、隙間を埋めるのにPTFE性質はもってこいです。

その他では、化学プラントなどのパッキンやガスケット、バルブシートなど、いずれも耐熱性と化学的安定性が求められる製品です。電子部品や光ファイバーの被覆材として利用されています。

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